★悪心・嘔吐

がん患者の悪心・嘔吐の原因としてオピオイド以外に薬物(ジキタリス、抗菌薬、鉄剤、抗がん剤など)、消化器疾患(胃潰瘍、消化管閉塞、便秘など)電解質異常(高カルシウム血症、低ナトリウム血症など)、感染症、高血糖、中枢神経系の病変(能転移、がん性髄膜炎など)、放射線治療などもある。

制吐薬としては、ドパミン受容体拮抗薬、消化管蠕動亢進薬、抗ヒスタミン薬を第一選択とする。選択の目安として、持続的な悪心・嘔吐にはドパミン受容体拮抗薬、食後の嘔吐・嘔吐には消化管蠕動亢進薬、動作時の嘔吐・嘔吐には抗ヒスタミン薬を使用する。

第二選択薬として非定型抗精神病薬、フェノチアジン系抗精神病薬またはセロトニン抗拮抗薬のいずれかを使用する。

★せん妄

がん患者のせん妄の原因として薬物(ベンゾジアゼピン、ステロイド、抗うつ薬など)、中枢神経系の病変、電解質異常(高カルシウム血症、低ナトリウム血症など)、脱水、感染症、低酸素血症である、このうち薬物、高カルシウム血症、脱水、感染症によるせん妄は可逆性が高いので治療を検討することが多い。

せん妄の内容が幻覚・妄想中心の場合は、ハロペリドール、リスペリドンを処方されていることが多い。睡眠障害が中心の場合には、クエチアピンを処方されることが多い。いずれも錐体外路症状に注意しながら少量から開始する。

Q1高齢者が服薬できない理由は?

A1①嚥下や認知機能の低下

  ②薬剤服薬に関する不安

  ③剤型、多剤併用

Q2食欲低下や悪心・嘔吐を引き起こす要因となりえる薬剤は?

A2モルヒネ、ドパミン受容体アンタゴニスト(レボドパ、ブロモクリプチン、ペルゴリド、カベルゴリンなど)、片頭痛のエルゴタミンやジヒドロエルゴタミン、抗うつ薬のフルボキサミン、パロキセチン、β遮断剤など

Q3会話の際口腔機能低下・嚥下機能低下・呼吸機能低下を疑う所見は?

A3「口が空いていることが多い」「声に息が混じる・かすれ声・すぎ息継ぎをする」「話しかけると少しせき込みつつ答える」「パ行・マ行・バ行の音をきちんと発音していない」「カ行・ガ行の音をきちんと発音していない」など

Q4腎前性腎障害を起こす病態や薬物は?

A4病態はショック、うっ血性心不全、肝硬変や心房細動など血栓・塞栓症など。薬物は利尿剤、シクロスポリン、NSAIDsなど

Q5腎性腎障害を起こす薬物は?

A5金製剤、ペニシラミン、ブシラミン、抗菌薬(ペニシリン)、抗悪性腫瘍薬(シスプラチン)、造影剤、NSAIDs、ARB、ACE阻害薬、免疫抑制薬(シクロスポリン、タクロリムス)

Q6キノロン系の副作用は?

A6痙攣、QT延長、光線過敏症、低血糖、高血糖、横紋筋融解症、腱障害

Q7認知症の中核症状は?

A7記憶障害、見当識障害、失語、失行、失認、実行機能障害など

Q8BPSDとは

A8認知症の行動・心理症状であり、周辺症状、随伴症状と呼ばれることがある。行動症状には攻撃性、大声や奇声、不穏、興奮、徘徊、性的脱抑制、収集癖などがあり、心理症状には不安、抑うつ、焦燥、幻覚妄想などがある。

Q9ALT、AST上昇の原因となり得る薬剤は?

A9抗結核薬、アセトアミノフェン、免疫抑制薬、ACE阻害薬

QK上昇の原因となり得る疾患は?

A腎不全、糖尿病政治不全、溶血性貧血、火傷、外傷、アジソン病、低アルドステロン症

Q鎮咳・去痰薬のうち(カルボシステイン)は水溶性かつ酸性であり、母乳に移行しにくい。

Qとびひによる皮膚感染症の病変部からの培養される菌の50~70%が(黄色ブドウ球菌)である。

Q国内で問題となっている耐性菌の中で最も多く分離されているのは(MRSA)である。

Q頭痛のうち痛みが片側なのは(60%)である。

QOTC薬における薬物性肝障害の原因は(中枢神経用薬)が一番多い

Q静脈のような血流の遅い環境下で生じる血栓には(心原性脳塞栓症)がある。

Qラテックスアレルギーを持つ患者で可能性の高い食品は(キウイ)である。

Q膀胱尿管逆流症がある場合、尿路感染予防のために(セファクロル)が投与されることが多い

ドライアイとは涙の渇きなど涙の異常により眼の表面の健康が損なわれる疾患。

★人工涙液

人工涙液マイティア点眼液・・・一時的な涙液量増加(水分補充)

★ヒアルロン酸ナトリウム

ヒアレイン点眼液

ヒアレインミニ点眼液・・・保水(上皮創傷治癒促進・涙液安定性向上)

★ジクアホソルナトリウム

ジクアス点眼液・・・P2Y₂受容体アンタゴニスト(ムチン・水分分泌促進)

★レバミピド

ムコスタ点眼液UD・・・ムチン増加、胚細胞増加(ムチン産生促進)

末梢性μオピオイド受容体拮抗薬であり、1日1回1錠投与のオピオイド誘発性便秘症(OIC)治療薬

【作用機序】

スインプロイクは消化管のオピオイド受容体に結合し、オピオイド鎮痛薬に拮抗することによりOICを改善します。

多くのオピオイド鎮痛薬(モルヒネ、オキシコドン、フェンタニル等)の鎮痛作用は主に中枢のμオピオイド受容体を介して発現します。スインプロイクはモルヒナン骨格を有する化合物であり、血液脳関門の浸透性を低下させること等を目的として側鎖が付加されている。スインプロイクは中枢におけるオピオイド鎮痛薬の作用は阻害しにくいようにデザインされた末梢性μオピオイド受容体拮抗薬である。

⁂浸透圧性下剤(腸管内の浸透圧を高めることにより便を柔らかくする)

 【酸化マグネシウム、ラクツロースなど】

⁂大腸刺激性下剤(蠕動運動を促進する)

 【センナ、センノシド、ピコスルファートナトリウム、ビサコジルなど】

⁂クロライドチャネルアクチベーター(腸管内への水分分泌を促進することにより、便を柔らかくする)

 【ルビプロストン】

 

◆おなかをマッサージする

 おへそを中心に「の」の字を書くようにマッサージをして、からだの外側から腸を刺激します。

◆お腹や腰を温める

 暖かいタオルでお腹や腰を温め、腸の働きに関する神経を活性化させます。

◆体を動かす

 ゆっくりと呼吸を整えながら、横になった姿勢から体を起こしたり、寝たまま10秒ほど膝を抱え、その後背伸びするなどして腸の働きを促します。散歩なども効果があります。

◆水分を十分にとる

 便秘は腸内の水分が少なくなっていることが多く、十分な水分補給によって便を柔らかくし、排便を促します。朝に冷たい水を飲むことも効果的です。

◆食生活を改善する

 食べ物がお腹に入るとその刺激で腸は活動を開始します。食欲がない時は少量でもよいので、腸の働きを助ける食物繊維を多く含む食品(海藻類、コンニャク、果物、野菜)を食べるようにしましょう。また朝食は排便を促すのに最適です。寝起き後の腸を刺激するので排便の習慣をつけやすくなります。

◆排便時の姿勢に気を付ける

 朝食後には便意の有無にかかわらずトイレに行きましょう。自然と便意をもよおす様になり、規則的な排便の習慣が作られます。また、排便時に前かがみの姿勢を心掛けましょう。あるいは足台足をのせると直腸から肛門のラインがまっすぐになり便を出しやすくなる。

TS-1(テにガフール、ギメラシル、オテラシルカリウム)はフッ化ピリミジン系経口抗がん剤です。

*テガフール(FT)

5FUのプロドラッグであり、主として間ミクロゾームP450(CYP2A6)により徐々に5FUに変換され、抗腫瘍効果を示す。

*ギメラシル(CDHP)

肝臓に多く分布する5FUの異化代謝酵素のジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)を選択的かつ可逆的に阻害して5FU濃度を上昇させます。

*オテラシルカリウム(OXo)

主として消化管組織に高濃度に分布して5FUのリン酸化酵素を選択的かつ可逆的に阻害し、消化器毒性を抑制する。

CDHPは腎排泄型であるため、腎障害のある患者に投与した場合は副作用が現れる恐れがある。

併用禁忌:TS-1又は他のフッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤との治療変更時には全治療薬の影響を考慮し、7日間以上の休薬機関が必要です。

併用注意(フェニトイン):テガフールによってフェニトインの代謝が抑制され、フェニトインの血中濃度が上昇する。TDMを実施し投与量調節の検討を行う。TS-1におけるフェニトイン中毒症状が併用後約1か月後に現れることある。

併用注意(ロンサーフ):トリフルリジンのDNA取り込みが増加する可能性がある。チピラシルがチミジンホスホリラーゼを阻害することによりTS-1の代謝に影響を与える可能性がある。

主な副作用と対策

【骨髄抑制(白血球減少・好中球減少)】

次の症状が現れた時、感染症が疑われる。TS-1を中止し担当医に連絡する。

●38℃以上の発熱●寒気●咳・のどの痛み●排尿時の痛み●残尿感

【下痢】

次の症状が現れた時、感染症が疑われる。TS-1を中止し担当医に連絡する。

●服用を始めて数日以内に口内炎と同時に下痢が現れる(特に注意が必要)

●激しい下痢が起こる。●下痢が長く続く。●1日の排便回数が普段よりも4回以上増加。

*オピオイドは脊髄後角において、一次知覚神経から二次ニューロンである脊髄後角神経への痛覚情報の伝達を抑制するだけでなく、脳から脊髄へ投射する下行性痛覚抑制系を活性化する。

★モルヒネ

・モルヒネは一次感覚神経に存在するμオピオイド受容体に作用し、侵害刺激による神経終末からの痛覚情報伝達物質であるグルタミン酸やサブスタンPの遊離を抑制する。

・水溶性で経口投与時のバイオアベイラビリティが約24%であり、初回通過効果が大きい薬物である。

★オキシコドン

★フェンタニル

アルギニン:蛋白代謝改善、免疫機能賦活

グルタミン:蛋白代謝改善、免疫機能賦活/制御